協働者ーユースー利用者の関係図

私たちの仲間になりませんか?

寄付のおねがい

子どもや若者が置かれている状況は、けっして楽なものではありません。 貧困に関わる問題解決には、あなたの力が必要です。
さいたまユースでは、寄付・寄贈、ボランティアなど、さまざまな関わり方ができます。
少しでもチカラを貸してもらえないでしょうか。

ニュース
  1. TOP
  2. ユースメモ
  3. あおちゃんのブログ(7月号)

あおちゃんのブログ(7月号)

2024年7月7日

さいたまユースがめざす「コモンズ」の創出

―地域の共有財産をさらに豊かに―

「地域に住むすべての人々が、豊かな経済生活を営み、優れた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能とする社会的装置であり、人間的尊厳を守り、魂の自立を支え、市民の基本的権利を維持する不可欠の役割を果たす」

戦後日本を代表する経済学者であり思想家、宇沢弘文(1928-2014)はこれを「社会的共通資本」と呼びました。宇沢は温暖化などの環境問題、交通やエネルギーなどのインフラストラクチャ―、教育・福祉、都市、農村などの社会制度を「社会的共通資本」としましたが、さらに持続的な発展を続けるために地域住民を主体にする「コモンズ」の必要性をも語っています。

私は1990年代、高校の教師時代から高校中退問題の調査研究をしてきました。当時全国で10数万人の高校生が中退し、多くが貧困の中で生きてきた若者でした。出会った若者たちの多くは社会の片隅で生活していました。私は90年代末から埼玉、東京、大阪などの公立高校の生徒や高校の状況を研究者とともに調査し、貧困と低学力、高校中退から「貧困」が再生産されるプロセスの研究をしました。人間関係や学力の低さなど高校生活になじめず入学者の半分が中退する高校も全国にありました。小学生から、大学進学をゴールに進学塾通いなど教育にお金がかけられる家庭の子どもは学校選択や将来の希望を描けますが、逆に子どもの教育にお金がかけられない家庭の子どもたちは学力が低く、将来のデザインを描くのが難しいのが実態です。東京都内では小学生の25%が私立中学(中高一貫校)へ進学していきますが、いくつかの区では5割の小学生が私立中学へ進学します。逆に10%以下の区もあります。教育制度が社会の格差を再生産していることの想像力がこの社会には不足しています。

2011年、中退した若者たちのその後を支える居場所をさいたま市内に作りました。居場所づくりに参加した学生たちが「たまり場」と名付けた「場」に最初にやってきたのはホームレス経験のある20代の通信制高校生、二人目は児童養護施設で暮らした女性でした。あれから14年、高校を中退、不登校(長期欠席)、精神障害や発達障害で社会に参加できない、中には家族が崩壊して一人で暮らしている、児童養護施設で成長した若者もいました。日本にやってきたけれども一人ぼっちという外国人もいました。ほとんどは孤立していました。

さいたまユースの14年 

-1万人の子どもや若者とつながった-

その後、さいたまユースは約1万人の子どもや若者たちと居場所や学習、就労の場でつながってきました。2023年の暮れ、Aさんという30代になった女性から10年ぶりに連絡がきました。義父の虐待から逃れるため、中学3年で児童養護施設に入り、そこから高校に通いましたが、18歳で高校を中退すると施設にも居られず、その後長く、風俗店で働いた女性です。風俗店を出た後の住まいと生活の相談でした。

さいたま市見沼区堀崎町を拠点に地域づくりを行っています。家族や学校からの支えがない子どもや若者を地域の力で支えようという活動です。社会の縮小が懸念される中で、持続的で包括的な地域づくりを目指します。活動のゴールは、地域で孤立して生きる人々を地域の人々が支え、住民自身が運営するシステム、「ローカル・コモンズ」です。具体的には地域のネットワークづくり、地域に既に存在するソーシャルキャピタルの蓄積、つながりです。「公助」の縮小が懸念される現在の日本社会で、地域の支え合いをコ-ディネートするNPOや地域に根ざす企業などとの協働による「共助」づくりでもあります。

さいたまユースは認定NPOに

さいたまユースは、この度、さいたま市から「認定NPO法人」として認定されました。「認定NPO法人」とは運営組織や事業活動が適正で、公益の増進に資すると所轄庁(都道府県、政令市)から「認定」を受けたNPO法人であって、一般のNPO法人と比べ、「より高い公益性をもっている」という所轄庁から証明を受けたNPOが「認定NPO法人」です。

全国のNPO法人、約70,000法人の内、認定NPOは1,283団体(約1.8%)しかありません。(2023年11月現在)一般のNPO法人と認定NPO法人の大きな違いは、「寄付者への税制優遇」です。認定NPOに寄付した場合、それは納税とおなじように社会問題の解決に参加していると国や自治体から認められ、様々な税制優遇を受けることができます。皆様のお気持ちによって、支援をいただいた子どもたちの幸せと、10年後、20年後の日本社会の安定に必ずつながるものと信じます。なにとぞ、ご理解をいただけますようにお願いいたします。

        認定NPO法人さいたまユースサポートネット代表理事 青砥恭

ユースメモカテゴリの最新記事

一覧を見る