子ども若者たちを「第3のおとな」がつながり支える 堀崎プロジェクト運営協議会を開催しました
5月23日、さいたまユースサポートネットは、認定NPOとなって最初の「堀崎プロジェクト運営協議会」をさいたま市見沼区の堀崎本部で開催しました。
堀崎プロジェクトは、自治体など行政、地域の学校関係者、民生委員など、行政・教育・福祉にまたがる関係者、自治会など地域の住民団体、企業経営者や市民活動団体、大学研究者など学識経験者を孤立する地域の子どもや若者の支援に関わっている方々のネットワーク形成を目的にした取り組みです。
この日は約30人が参加し、最初に青砥祥子専務理事から、「多様な困難を抱え、孤立する子どもや家族に向き合う地域社会」(ローカル・コモンズ)をどのように地域で作っていくか。具体的には、さいたまユースの活動で、出会った子どもや若者たちは、今までに1万人を超えますが、過去、私たちが出会った子ども若者には1団体の力では解決できない課題題を持った家族がいました。
①夫のDVで離婚調停をしている母親と不登校の子どもたちの世帯
②父母が子どもの養育を放棄し、高校年代の長男が下のきょうだいを支えて暮らしている、子どもたちだけの世帯
③精神疾患があり、10代から不登校が続いてきた40代の息子さんとお母さんの世帯
④外国からやってきた子どもたちも増え、中には、難民申請をしている家族
このような孤立する世帯を支えるには、多様なスキルを持った社会資源や人材が常駐し、居場所ともなる拠点と地域(行政・教育・福祉・企業・市民)の連携、地域づくりが必要です。基調講演は駒澤大学総合研究学部の萩原建次郎教授。子ども時代を見沼区で過ごした萩原さんは、子ども・若者の成育環境が近年変化し、さいたま市のような都市部では特に、親同士の関係の希薄化や世代間の分離が深刻だと指摘。「子どもの見えないSOSを見えるようにするには、学校・地域それぞれができることで子どもと関わり、そして連携していくことが重要」と話しました。
協議では、市内の定時制高校の教員が、「地域で、卒業後の関係性をつくる間もないまま生徒たちは就職をし、中には離職してしまうこともある。生徒たちを卒業後、地域とどうつないでいけるかは大きな課題」と率直な思いを語りました。見沼区内の自治会長から、「ひとりで登校する子がいたら声を掛けるなどして、自治会役員が会長や民生委員につなぐようにしている」「年配者はつながりをつくるのがじょうずだ。小さなイベントの開催で、小人数で深みのある世代間交流ができたら、そこから何かが見えてくるのではないか」。民生委員からは「子どもの居場所はあるようでない。親と地域とのつながりをつくることが大切」との意見、福祉行政の現場からは「生活資金の貸し付けは母子世帯が圧倒的に多い。地域のネットワークを活用した支援の拡充をみんなで考えていきたい」との声があがりました。さいたまユースサポートネットは、地域の方々とこうした対話を積み重ね、重層的にまたがった役割分担もしながら、地域の人々が主体地なった〝第3のおとなたち〟によるネットワークをつくり、地域主体の活動で困難を抱える子ども・若者をしっかりと支えていきます。