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【朝日新聞】介護が阻む社会参加

2021年10月5日

ー全文ー

介護が阻む社会参加

ヤングケアラーへの関心が高まっている。病気や障害を持った家族の介護や世話をする子どもたちのことだが、私たちの居場所の中でも決して少なくない。家族の介護や世話の責任を家族内で誰かに負わせようとすれば、子どもたちにしわ寄せがいくのはありがちなことだ。「祖父母や弟、妹の世話をする ことはよいこと」と、今まで間題視されなかっただけだ。 私たちも、きょうだいの面倒を見ることで不登校(中には高校中退)になるケースを見てきた。数年前、県内の定時制高校を中退した女性が毎週、居場所 にやってきていた。母親は生活保護を受けながら子育てをしていたが、パチンコ店に入り浸っていた。治療が必要な典型的なギャンブル依存症だ。父親は下の子どもが生まれて間もなく行方が分からなくなり、その頃からギャンブル依存が始まったようだった。幼いきょうだいの面倒を見るのは女性の役割になっていた。女性も私たちの居場所に来て同世代の友達と会うのが 一番の楽しみで、きょうだいを連れてきて、居場所の利用者がみんなで世話をしていた。女性は疲れては家出をして、数日後に帰ってくるという生活を繰り返していた。

深刻なのは、女性の家族のような貧困層だ。「家族のことは家族で責任を」という、自己責任を当然視する社会の有り様に問題があるのである。とりわけ孤立した貧困世帯には地域社会に支え合う関係性がない。ヤングケアラー問題はこれからも、子どもや若者の社会者んかをはざむ要因になるだろう。

日本の貧困問題の最大の課題は、支援が必要な人を社会が把握していないことであり、貧困を家族の中に閉じ込めていることである。貧困を社会的問題としてこなかったことで、貧困はさらに深刻化した。とりわけ子どもたちにとって貧しさとは、勉強や行事や部活動に参加し、進路選択をするなど、学校でみんなと同じように社会参加できるかどうかという問題になる。

政治や社会は、すべての子どもたちにお金の給付だけではな く、学びや遊び、多様な体験を平等に経験させる責任がある。 それが子どもの幸福感や社会への信頼感につながる。ヤングケアラーは子どもたちの社会参加の機会を奪い、社会的排除をもたらす典型的な問題なのだ。

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